ロシアの夜

さて8月22日のプロム49はアメリカの名物プロデューサー、クインシー・ジョーンズへのオマージュということで、私には畑違い。
一日パスして23日のプロムに飛びます。火曜日のロンドンは猛暑だったようで、コメンテイターの第一声はそのことでした。この日はBBC響によるロシア音楽の夕べ、とでも言えるプログラム。

8月23日 ≪Prom 50≫
チャイコフスキー/幻想序曲「ハムレット」
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
     ~休憩~
プロコフィエフ/交響曲第3番
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/アレクサンドル・ヴェデルニコフ Alexander Vedernikov
 ピアノ/スティーヴン・ハフ Stephen Hough

この日の3曲は何れも通常のレパートリーとして取り上げられている作品。3曲とも手元にスコアがありますので、簡単な感想に止めましょう。

指揮のヴェデルニコフは今回がプロムス・デビューとのこと。最初のチャイコフスキーはもちろんシェークスピアのハムレットを題材にしたもので、プロムスの今年のテーマ。
最初にコメンテイターが作品の開始について“ティンパニ・ソロのトレモロによるクレッシェンドが、グリーグのピアノ協奏曲の出だしソックリ”と解説しているのを聞いて成程と感心してしまいました。
実際に音楽を聴いても判りますが、両方のスコアを見比べると尚更良く分かります。もちろん音程は5度違うのですが、こういう指摘は初めて聞きましたね。

続いての協奏曲はグリーグではなく、ラフマニノフ。ソロのスティーヴン・ハフは言わずと知れた名手ですが、日本では今一つ人気が出ません。しかしイギリスでは大人気で、今回の素晴らしい演奏を聴けば、さもありなんと納得。
ハフのアンコールはヴァシリー・パヴロヴィッチ・ソロヴィヨフ=セドイの「モスクワの夜」という名歌で、ハフ自身の編曲だそうです。ラフマニノフの第2ピアノ協奏曲の出だしソックリで始まりますが、これはハフのサービスかも知れませんね。1955年の作品で、日本では「モスクワ郊外の夕べ」という題名でポピュラー歌手も録音しているようです。ご存知の方はアンコールだけでも聴いてみては如何。

最後はプロコフィエフが歌劇「炎の天使」の題材を用いて再構成した交響曲。以前にマエストロサロンでラザレフが解説してくれたアナリーゼを思い出しながら楽しみました。音響的にも素晴らしいネット中継です。

 

 

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